プレス機械の種類

基礎からはじめるプレスの話 第4回/株式会社エヌテック

第4回 プレス機械の種類

株式会社エヌテック営業部の島田です。

今回はプレスの種類について。

一口にプレスと言っても、使用用途によって複数種類に分かれています。まずは一般的に目する機会の多いプレスからご説明致します。

機械プレスと油圧プレス

プレスは大きく分けて機械プレスと油圧プレス(液圧プレスとも)があり、さらに、新たな区分とも言えるサーボプレスがあります。

機械プレスはエアと電気により駆動するプレスで、製品化後にストローク長の変更が困難、加圧力の保持が出来ないなどのデメリットがある反面、加工速度が速く量産に適している点が最大のメリットだと言えます。

機械プレスはさらにクランクプレスやリンクプレス、ナックルプレスなどに細分化されます。それぞれの機構や特徴について、これから詳しくご説明したいと思います。

クランクプレス(Crank Press)

クランクプレスの動き│株式会社エヌテック

プレス工場で一番、目にすることの多いプレスです。

スライドの上下動は一定で抜き加工、曲げ加工、絞り加工等の様々な加工で使用しやすいプレスになっています。

私たちエヌテックがメインで扱っているプレスも、このクランクプレスです。

リンクプレス(Link Press)

リンクプレスの動き│株式会社エヌテック

プレス加工の中でも絞り加工の生産性を高めるために適したプレスです。

クランク軸とカムの組合せにより、スライドが上下動する際に下死点の手前から減速します。

これにより、絞り加工の際に起こりがちな金属の伸びによる割れを防ぎながら加工できるという特長があります。

ナックルプレス(Knuckle Press)

ナックルプレスの動き│株式会社エヌテック

「てこの原理」を利用してスライドを上下動させるプレスで、下死点の手前でリンクプレスよりさらに大きく減速します。

刻印等など、じっくり成形したい加工に用いられるプレスです。

スクリュープレス(Screw Press)

ネジが回転する力を利用して加工するプレスです。左右のサーボモーターでVベルトを巻き取り、スライドに連結しているネジを回転させます。

シャフトのように、長物を加工するために用いられます。

スクリュープレスの動き│株式会社エヌテック

フリクションプレス(Friction Press)

見た目に特長があるプレスです。

縦回転しているドラムが左右に1つずつ、中央に横回転しているドラムが1つあり、縦回転している左右のドラムのどちらか1つを横回転しているドラムに押し当てることにより回転方向が変わります。

瞬間的に大きな加工能力が必要となる潰し加工に用いられます。

フリクションプレスの動き│株式会社エヌテック

油圧プレス(液圧プレス/Hydraulic Press)

油圧プレスの構造│株式会社エヌテック

油圧シリンダーに油を出し入れする圧力を利用して、スライドを上下動させるプレス。機械プレスでは加工ができない、深絞り加工等に用いられます。

加工速度が遅く量産には不向きですが、構造がシンプルであること、油を出し入れするタイミングを変えることでストローク長の変更が容易であること、加圧力の保持が可能であることといった機械プレスにはないメリットもあります。

サーボプレス(Servo Press)

サーボプレスの構造│株式会社エヌテック

機械プレスと油圧プレスのいいとこ取りをした画期的なプレス。回転数や回転方向を変えられるという、サーボモーターの特長を最大限に活かしたプレスであるとも言えます。

リンクプレス・ナックルプレスのように下死点の手前で減速させ、ゆっくりと加圧する動きや、上死点には戻らず15分と45分の間を往復する振り子動作、一定のスピードでゆっくりと加圧する油圧プレスのような動きもでき、1台何役もこなすことができるプレスです。

前回「プレス機械の構成(前編)」で解説したクラッチやフライホイール等が無く、サーボモーターがメインギアに直結している構造。加圧能力はすべてモーターの出力で賄われるため、プレス用のサーボモーターを使用する必要があります。

専用のサーボモーターを製作できるメーカーが限られるため、その分高額になってしまうところがネック、といったところでしょうか。

まとめ

今回はGIFアニメーションを使って各プレスの動きをわかりやすく表現してみましたが、如何だったでしょうか。加工用途に応じて様々なプレスがあることがお分かりいただけたかと思います。

プレスには他にも多くの種類がありますが、機会がありましたらご説明したいと思います。

「基礎から始めるプレスの話」、次回は2022年1月以降の更新になります。

本年もお付き合いいただき、ありがとうございました!皆様、どうぞよいお年をお迎えください!

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