プレス機械の構成(前編)
第2回 プレス機械の構成(前編)
株式会社エヌテック営業部の島田です。
第2回は、プレス機械を構成する各箇所について説明していきます。社内の日常会話の中でよく使われる箇所を中心にピックアップしてみました。
長くなってしまうので、前編/後編に分けてお届け。
前編は動力源であるメインモーターをはじめ、プレス機背面側の構造からです。
エヌテック製のC型プレスです。画像をクリックすると大きな画像が別タブで開きますので、参考にしてください。
フレーム(Frame)
プレス本体(ボディ)のこと。フレームに様々な部品(後述)が取り付き、プレス機と呼ばれる機械になります。
プレス機が加工を行う際、大きな衝撃が発生ます。たとえば200tonプレスなら200tonの加工能力を発生させ、金属を成形するのです。
その衝撃や振動が、毎回フレームに掛かってくるため、しっかりと強度計算をしておかなければ、フレームに亀裂が入ってしまうなどの不具合が発生してしまいます。
メインモーター(Main Motor)
主電動機とも呼ばれ、その名の通り、プレスを駆動させるためのモーターです。
モーターの先にはプーリーと呼ばれる部品が付いており、プーリーにはVベルトが掛かってモーターからの動力をフライホイールに伝えています。
Vベルト(V Belt)
メインモーターの回転をフライホイールに伝達するためのベルト。Vベルトの本数はメーカーの保全に対する考え方、選定したベルトの強度によって違ってきます。
他プレスメーカー様に比べ、弊社は多めに使っています。
プレス屋さんの豆知識
Vベルトを5本使っているプレス機があり、1本だけ切れてしまった場合、必ず5本全部のVベルトを交換してください。
Vベルトはゴム製であり、常に回転しているため、切れていないベルトも新品の頃に比べ伸びてしまっています。
その中で1本だけ交換すると、伸びていない(短い)新品のベルトのみに負荷がかかり、先に新品のベルトが切れてしまうためです。
フライホイール(Flywheel)
電源がオンになっていると、常時回転しています。回転エネルギーを以て加圧能力とするプレスの能力発生に欠かせない重要な箇所です。
クラッチ(後述)が入ることで回転エネルギーが伝達されますが、仕事を行う際にそのエネルギーの一部を消費するため、次のクラッチが入るまでにメインモーターを回転させ、エネルギーを回復させておく必要があります。
プレスの仕事量がメインモーターによるエネルギー回復能力を超えたまま使い続けると、やがてエネルギー不足でプレスが停止してしまいます。
クラッチブレーキ(Clutch Break)
フライホイールの項目でも説明した通り、メインモーターからの回転エネルギーをメインギアに伝達する部品です。
エアの力でクラッチのオン、オフが繰り返されます。
クラッチがオフになったと同時にブレーキがオンになり、クラッチが切れることでフライホイールは空転状態に戻ります。自動車に例えるとクラッチオフの状態がニュートラル、クラッチオンの状態がドライブと言えば分かりやすいと思います。
クラッチには乾式(かんしき)クラッチ、湿式(しっしき)クラッチの2種類がありますが、詳しく説明すると長くなりますので、いずれまた別の機会に。
まとめ
プレス機械の構成を、簡単な模式図にまとめてみました。
今回は、
- メインモーターで発生したエネルギーが
- モータープーリ、Vベルトを介してフライホイールを回転させ、
- クラッチによってON/OFFを行う
ところまでをご説明しましたね。
次回はプレス機前面側の構造について。ピニオンギアシャフトから始めますので、ご期待ください!